相場には格言やアノマリー(根拠はないけど何かしらの傾向があること)がたくさんあります。
1月の為替相場で言われているアノマリーは
・ドル円は1月に、その年の最高値か最安値をつける
・1月の動きが年間の方向性を決める
ということが言われています。
このアノマリーの根拠としては
アメリカの多くの企業が12月決算なので、1月から新しい事業年度がスタートします。
新しい事業年度、新しい事業計画になって、海外への投資を増やすのか減らすのか、国内への投資を増やすのか減らすのか、といった方針が1月からの為替レートに反映される、というものです。
資金が国内(アメリカ国内)に集まればドル高になり、海外(アメリカ国外)に移ればドル安になります。
もし、昨年12月までドル高基調で動いていたものが、1月からドル安方向に動けば、1月が最高値になり、1月のドル安基調が年間の方向性になる、
逆に、昨年12月までドル安基調で動いていたものが、1月からドル高方向に動けば、1月が最安値になり、1月のドル高基調が年間の方向性になる、
ということになります。
では、このアノマリーは本当か?
信ぴょう性のあるものなのか?
検証してみましょう!
ドル円は1月に、その年の最高値か最安値をつける
次の表は2006年から2015年までの10年間において、その年の最高値をつけた月に赤、最安値をつけた月を青で記しています。
最高値が1回、最安値が2回で、最高値か最安値になる確率は30%ですので、
「1月が最高値か最安値になる」
というのは信ぴょう性に欠けると言えます。
ただし、11月から2月の間で考えると、その間に最高値か最安値をつけたのは8回(80%)あります。
冬の間に最高値や最安値をつけやすい。
そして、1月が高値圏や安値圏にあることが多い、というのは傾向としていえるようです。
1月の動きが年間の方向性を決める
次の表は2006年から2015年までの10年間において、1月の月足のとその年の年足の関係を示しています。
1月の月足が上昇の陽線なら赤、下降の陰線なら青、
年足が上昇の陽線なら赤、下降の陰線なら青で記しています。
1月の月足が陽線の赤で年足も陽線の赤、
または、1月の月足が陰線の青で年足も陰線の青で一致すれば、アノマリー通りということになります。
結果は、一致が4回(40%)ですので、
「1月の動きが年間の方向性を決める」
というのは信ぴょう性に欠けると言えます。
まとめ
ドル円は1月に、その年の最高値か最安値をつける
1月の動きが年間の方向性を決める
というふたつのアノマリーは信ぴょう性に欠けると言えます。
ただし、11月から2月にかけての冬の間に、年間の最高値か最安値をつける傾向はあるようです。
ちなみに、次の表は2005年から2014年までの10年間の月別のボラティリティ(値動きの変動幅)のデータです。
その月の高値から安値を引いた値幅を表にしたものです。
その年で最も値幅が大きかった月を赤で、最も値幅が小さかった月を緑で記しています。
過去10年間で1月の値幅が最高だった月はユーロドルで1回だけですが、最低だった月は一度もありません。
また、相場の流動性(取引量の多さ)に関しても、1月は流通量が多い月です。
取引高世界一位のGMOクリック証券の2016年の月別の取引高のデータです。
1月は平均以上に動き取引も活発で、トレードには適している月ということが出来るでしょう。